
![]() |
地域マスター工務店登録運動 『住宅「考」房』編集人 野辺 公一 |
お年寄りに赤ちゃん言葉を使う人 まったく馬鹿げたことだが、車椅子のおばあちゃんやおじいちゃんに対して話かけるのに「おばあちゃん、元気でちゅか」とまるで赤ん坊に語りかけるようにする人をたまたま見かけた。 電車を待っている時である。 お節介にも、40才過ぎのおばさんなのだが、お年寄りには話しかけるのが、彼女にとってのボランティア感覚のようであった。 一体、おばあちゃんおじいちゃんを何だと思っているのであろうか。少なくともお前さんより長く生きてきた人に対して、敬意というものを払ったまともな口が聞けないのだろうか、と呆れることがある。 ところが、高齢者施設の職員にもまだこうした馬鹿げた口を聞く人がいると聞いてなおさら驚いた。 どこからこんな発想が湧いてくるのか、と考えるのだがよく分からない。 ただ、おためごかしの独善が「いいこと」をしていると思う神経に対して、私としては疑問を投げかけるだけだ。 「いいことをしている」と他人に対する想像力が消え失せる 高齢者のデイ・サービスセンターの施設長さんと話をしていたら、「そうなんですよ。特に酷かったのが、措置制度の時代でしたね(サービスを選ぶことができなかった時代、と言える。現在は介護保険に変更されたので契約制になったので、ある意味でサービス競争と顧客満足度を考える時代に入ってきた。これによって、少しは職員たちの目線が、サービスという視線を介してだが、おばあちゃんやおじいちゃんに対する態度が変わってきたようだ)。70、80、90と人生を生き抜いてきた人たちに対して、なんでまともな言葉を使えないんだ。」と彼は怒る。 こうした、自分の目線を下に向けるということをやる人は、相手を勝手に弱者=赤ん坊といったイメージにおいているところから来るのではないか、と感じるのだがどうだろうか。 そして、自分がそのようなふざけた言葉をかけられたら、自分はどう感じるだろうか。傷つくだろうか、という一片の想像力もない人の情けなさをしみじみ思うのであった。 どうにも「いいことをしている」という気持ちよさは、極めて危ういものがあるな、と感じるのであった。気持ちよく悩み、気持ちよく傷つく時代というのは、やはりその奥底にある闇の深さが見えなくなるものなのではないか、などとちらと思いつつ電車に乗り込んだのであった。 |
| |