東京都の住宅コストに関わる実験 日本住宅新聞 宮澤 秀雄

石原都知事の発言から
石原都知事の「大手ハウスメーカーの住宅は高過ぎる」発言以来、中小工務店の育成策を検討してきた東京都が、住宅の価格を3割程度引き下げるような生産システムの提案を公募する事業を開始しました。
 東京都で建てられている戸建て住宅(公庫融資)の坪当たり平均単価が72万円と高いのを、50万円程度にしようというのが取り敢えずの目標であるようですが、工務店が建てる住宅の価格を下げることで、ハウスメーカーの住宅も安くなると見ているようです。
 もちろん、価格を下げたからといって、質や性能を落としては何にもならないので、現状のレベルを維持しながら3割程度安くするか、あるいは価格が現状のままでも、質や性能を3割上げるような提案でもいいとしています。
 都の担当者は、「長寿命で、グレードでも幅を持たせた住宅を妥当な価格で消費者が買えるように、お手本となるような住宅生産システムを提案してもらい、多くの工務店等に普及していきたい。また、質と価格についての表示ルールを定め、消費者が安心して探し、選べるように、情報の透明化を図ることで、マーケット全体を変えていくような取り組みにしたい」と意気込みを語っていました。

価格納得性という課題
 地方自治体が、地域の工務店をターゲットに、これほど踏み込んだ対策に踏み切ったのは画期的なことで、「これで地域工務店の時代が来る」と期待する向きもありますが、これがいたずらに競争をあおることになっては逆効果になります。例えば、提案競技の結果がいくつかのFCグループをつくるだけになったら、工務店の格差は大きくなってしまいます。
 また、ハウスメーカーが坪72万円で売っている住宅を50万円で建てられる工務店がいたとしたら、どのように評価するのか。
 競争が必要であるとしても、それをより公平なものにするためには、標準的な住宅とその仕様を示す必要があります。もちろん、「近くの山の木で」建てる住宅等、いくつかのタイプを想定して。
 どのような住宅がどれだけの価格なのかが明確になれば、価格を下げる努力のしがいもあるのではないでしょうか。
 もちろん工務店は、何故その価格でできるのかを納得のいくように説明できなければなりません。いずれにせよ、これからの工務店業界に大きな課題を投げかけられていると言えます。

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