工務店からの発言が少なかった
 この『住宅「考」房』は、家づくりについての多様な視点で考えることが必要であり、そのことを住まい手のみなさんに知っていただく、という趣旨で発刊しているものです。
 しかし「マスター工務店登録運動」が編集しているにも関わらず「それにしては工務店からの発言が少ないではないか」というご意見が寄せられています。
 「確かにその通り」だな、と感じこれから「連絡会議」メンバーの工務店が交代で、まっとうな工務店はこんなことをやっている、工務店はこう家づくりを考えている、工務店はお客様とのおつきあいをこんな形でやっている、といったことを書いていこうと思っています。
 そのトップバッターが私、ということになりました。その理由は簡単で、私が青木だからです。あいうえお順で発言を、という事務局からの意見によって、この順番になりました。

化学部出身の工務店主です
 さて、簡単に私のことを紹介させていただきます。私は、中学生の時以来、部活動は化学部でした。以来化学の道に進もう、と密かに将来設計をしていました。ですから大学も化学を専攻しました。そして、就職も化学系の研究所に決めていたのです。
 しかし、あることがあって、青木工務店を継ぐことを決意しました。今から30年以上昔のことです。継ぐにあたって、私は大工技能等を習得していませんでしたし、建築のけの字も基礎的なことを知りません。そこで、再度今度は建築を大学で学ぶことにし、この道に入ったのでした。
 青木工務店が、神奈川県大和市で活動をはじめて既に50年を超えています。
 おかげさまで、父の代からお客様もまだ多くいらっしゃいます。また、そのお子さまとのおつきあいを私がさせていただいている例も多いのです。そして、今、私の息子が私の跡継ぎとなって、さらにお客様との関係を継続させていただける形になっています。
 工務店は、家をつくることが仕事ですが、住まわれた後の家を守ることも大切な仕事です。
 そして、そうした仕事である以上、地域に存在し続けるということが、工務店としての最大の使命です。私が、息子だけでなく、若い大工を「番匠塾」という訓練校で育ててきたのも、家をつくる工務店として持続的に地域に存在するためでした。
 今、この若い大工たちが「親方」として第一線で活躍をはじめました。

職人の健康性も考えた材料選択
 さて、私はもともと化学を専攻していましたから、工務店を引き継いだ時に驚いたことがありました。いわゆる危険性の高い化学物質が、現場で平気で売られ使われていたのです。私は、そうした危険性の高い材料の使用禁止をまず最初に打ち出しました。
 昨今、シックハウス対策として様々な建築材料が出てきますが、私の場合は、まずその成分材料をチェックし、その安全性を確認する、といったことをやります。
 その昔、私が化学式を交えて話をすると、多くの工務店の仲間たちは怪訝な顔をしたものですが、いまや、誰もがもっと教えて欲しい、という時代になってきました。
 また、お客様もそうした勉強をされている方が増えてきました。
 私たち工務店は、職人の健康に被害を与える材料は使ってはならないのです。そうしたスタンスをとることで、シックハウス等の安全な材料を正しく採用することができるのです。

工務店が元気に存在しているということ
 工務店の仕事は家をつくることですが、実は家づくりを通じてお客様との関係性をきちんと作り出すことが本当は仕事ではないか、と思う部分もあります。お医者さんが、患者さんの体だけを見ていては、本当の健康管理ができず、患者さんの生活や性格を知ることが適切な健康管理に結びつくわけですが、それと同じことが工務店にも言えます。
 そして、そんなお医者さんが元気で存在してくれていることほど心強いことはありません。このことは工務店にも言えます。
 ですから、私は、「青木工務店は元気で仕事をしています。最近はこんな家づくりをしています」ということを私のお客様に知っていただくことも、工務店としての大切な仕事の一つだと思っています。
 こうした考えから、生まれたのが『わが社の自慢レター』です。新築だけでなく、リフォーム工事などを通じて関係性が形づくられたお客様たちにお送りさせていただいています。


▲青木工務店「我が社の自慢レター」
『我が社の自慢レター』
 『我が社の自慢レター』は、はがきの形で毎月、青木工務店が施工した最近の住宅を写真でご紹介させていただくものです。『自慢レター』としているのは、私たちの仕事を自慢したい、というより、お客様との共同作業によって完成した住宅を自慢したい、という気持ちから、そんなタイトルにしています。
 家をつくり、守っていくということは、短期間で完結することではありません。何十年もの長い時間、お客様と共にその家の価値を持続していくのが工務店の役割です。
 その工務店が、生きているのか、死んでいるのか、ちょっと分からないな、といったことでは困ります。
 私たちは今日もこのような仕事をさせていただいています、ということを知っていただき、プロの技術が必要だなと感じたとき、住宅についてちょっと聞いてみたいと思うことがあったとき、気軽にご連絡をしていただけるような、お客様にとって身近な工務店でありたい。そんな関係づくりのために、今月も『自慢レター』をお届けしています。