秋田木材通信社 編集長 薩摩 鉄司




ちょっとおかしくないか
 暖冬と言われた割には春の訪れが遅かった北国、日本海の海の色が透明度の高い緑色になってくると、あとは一気呵成の感である。白神山地の高嶺の雪も日に日に消えていくのが分かる。
 春の農繁期に入る前の一時期は地方でもやはり住宅建築の季節である。以前からするとだいぶ少なくなったが、住宅展示会や内覧会の幟がはためくようになる。しかし最近は、ちょっと足を止めて中に入ってみようかなと、その気にさせる物件が少ない。
 はっきり言ってしまえば、どれもこれも似たり寄ったり。マッチ箱を二つ重ねてとんがり屋根に鮮やかな外装のサイディングや煉瓦調の壁面材。玄関廻りの吹き抜けはもう定番。謳い文句はローコストに高断熱・高気密、安全・安心・快適・環境も流行のキャッチコピーである。
 人口の減少率が全国トップクラスで高齢化率も超高速、空洞化した町場には高齢者の一人住まいで毎日寝る部屋を変えても1週間は暮らせるという家がいくつもある。そんな住空間を放っておいて、わざわざ郊外の区割りされた○▽団地に狭い家を建てなければならないのか、「ちょっとおかしいんチャウ」と思うのは当方だけではあるまい。

「間違いだらけの」住宅進出を防げ
 昨年、関東近郊の新興住宅地で、いわゆる「パワービルダー」の手になる住宅というものを見せてもらったが、気になったのはその敷地面積の小ささもさりながら、住宅の規模(面積)の狭さだった。ここでもやはり、ローコストが喧伝されていた。タイプとパターンが決まっているから、そのとおりなのだろうが、かつてハウスメーカーが営業の最大ツールとしていた住宅展示場がないことも、固定費の低減には大きく預かっているのだろう。
 購買層のターゲットを1次取得者に絞り込んでいるという方針も、ローコストはウリなのだと思う。しかし、1次取得者にとっても1、2階を合わせて30坪(100u)では狭すぎはしないか。彼らもやがては子を持つ親になり、老いた親御さんの面倒を見ることになるかもしれない(ありえないか?)。その時になって、今の時点での住宅購入が問題にならなければいいのだが。
 と同時に、そんな都会のあえかではかなげな住宅が、なぜ地方にも波及してくるのか。土地は存分にある。しかも価格は下がって買いやすい状況にある。かつて大型量販店の地方進出と撤退、蹉跌という通り過ぎ現象を見てきただけに、ここは「間違いだらけ」住宅の地方進出は何としても防ぎたいと思っているこのごろである。